段階増額積立方式の「引上げ幅」に目安ができた
|2024年改定の修繕積立金ガイドライン
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最初は安く、後から値上げしていく段階増額積立方式。計画どおりに値上げできず、積立金が不足する原因になってきました。2024年6月の修繕積立金ガイドライン改定で示された「初期額は基準額の0.6倍以上、最終額は1.1倍以内」という目安と、自分のマンションの計画を点検する方法を解説します。
均等積立方式と段階増額積立方式
修繕積立金の積み立て方には、大きく分けて次の2つがあります。
- 均等積立方式:計画期間中に必要な修繕費用を、毎月同じ額で積み立てる方式
- 段階増額積立方式:当初の積立金を低く設定し、一定の期間ごとに段階的に値上げしていく方式
段階増額積立方式は、購入時の負担を軽くできるため、新築マンションの多くで採用されてきました。 一方で、値上げのたびに総会での合意が必要になります。区分所有者の高齢化などで合意が難しくなり、予定どおりに値上げできないと、修繕積立金が不足する原因になります。
国土交通省のガイドラインでは、将来にわたって安定的に積み立てる観点から、均等積立方式が望ましいとされています。
2024年6月の改定で示された目安
2024年6月、国土交通省は「長期修繕計画作成ガイドライン」と「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を改定し、段階増額積立方式における適切な引上げの考え方を示しました。 均等積立方式とした場合の月額を基準額として、次の範囲に収めることが目安とされています。
計画の最終額:基準額の1.1倍以内
つまり、最初の額を低くしすぎず、最後の額も高くしすぎない、ということです。 初期額と最終額の比で見ると、値上げの幅はおおむね1.8倍程度までに収まる計算になります。
計算例
計画期間中に必要な積立金を均等に積み立てると、1戸あたり月15,000円になるマンションの場合で考えます(基準額=15,000円)。
- 初期額の目安:15,000円 × 0.6 = 9,000円以上
- 最終額の目安:15,000円 × 1.1 = 16,500円以内
当初の積立金が月6,000円で、最終的に月25,000円まで上げる計画になっている場合は、初期額・最終額ともに目安から外れています。 このような計画では、将来の値上げが実現できずに不足するリスクが高いといえます。
自分のマンションの計画を点検する手順
1. 基準額(均等積立とした場合の月額)を出す
長期修繕計画の計画期間全体で必要な積立金の総額をもとに、毎月同じ額で積み立てた場合の月額を計算します。
2. 現在の額と最終額を基準額と比べる
現在の積立金の額が基準額の0.6倍を下回っていないか、計画上の最終額が1.1倍を超えていないかを確認します。
3. 値上げの時期と幅を、収支の推移と合わせて確認する
いつ、どれだけ値上げする予定なのか、値上げが1回遅れた場合に残高がどうなるのかを、収支の推移で確認します。 均等積立方式に切り替えた案や、値上げ幅を抑えた案と並べて比べると、総会での説明材料にもなります。
RE:PLANでできること
長期修繕計画クラウド RE:PLANでは、修繕積立金の設定で均等積立方式と段階増額積立方式(最大6期間)を切り替えられ、収支グラフで計画期間全体の残高の推移を確認できます。 計画を複製して「均等積立案」と「段階増額案」を作り、並べて比べることもできます。
まとめ
2024年の改定で、段階増額積立方式の引上げについて「初期額は基準額の0.6倍以上、最終額は1.1倍以内」という目安が示されました。 目安はあくまで国の考え方で、実際の積立金の額は総会で決めるものです。 それでも、自分のマンションの計画がこの範囲に収まっているかを一度確かめておくことは、将来の値上げをめぐる議論を落ち着いて進めるための第一歩になります。
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国土交通省 報道発表資料
計算例は説明のための仮の数値です。点検の手順に関する記述は、ガイドラインをふまえた筆者の見解です。